身体(からだ)の言い分
・読み : からだのいいぶん
・著者 : 内田 樹,池上 六朗
・発行 : 毎日新聞社
・発行日 : 2005/07
・ジャンル : 身体論
・サブタイトル : Right time,right place
・定価 : 1,575円
プロセスを見よ
企業における品質管理がそうなんですけど、最終品の品質について1つ1つ精査することはできない。だから製品の品質をどうやって管理するか、その管理工程の機能をチェックする。
アウトカムではなくプロセスを見るわけです。
人間の体だって部分を見たら、六十兆からの細胞があるわけで、六十兆をぜんぶ精査するのは不可能です。(中略)見なければならないのは、個々の細胞の具体的なダメージではなくて、プロセスがうまく機能していないのはどの点かということですから。どういう挨拶をしてどんな表情で、どんな歩き方で部屋に入ってきたのかを見るだけで、その人が自分の体をどのようにコントロールしているかがわかっちゃうということだってありうるわけで。その人自身の無意識の身体操作から体のプロセスもわかってきて、こんな口のききかたをするやつだから、この辺がおかしいんじゃないの(笑)、というね。
チャンスはつかむものではない、やってくるものである
仕事って「これ、やってくれる?」ってあっちからくるもので、「これ、やらせてください」って自分から言うものじゃないと思うんですよ。本来は。「あなた、これをやってください」って向こうからいってくるわけですけれど、何でそんなことを言うのかと思うと、「あなたなら、これできると思って」というわけです。この「あなたなら、できるんじゃないの」という評価をもって社会的承認というのであって、ドアをこじ開ける力のことを言うわけではないんです。ドアは向こうからしか開かないし、梯子は上からしか下りてこない。それを自分で「ステップアップ」とか言って、あたかも梯子を自力でかけて自力で上がれるかのような幻想をふりまいて、「成功のドアを開けよう」なんてとんちんかんなことを言っている。(笑)成功のドアは向こう側からしか開かないし、ステップアップの梯子は上からしか下りてこない。
(中略)何か縁があって触れた仕事というのは、無意味に触れてくるわけではないから、自分が必ずできる仕事なんです。そんな時に臆病風に吹かれて一歩引いてしまったらだめなんですよ。せっかく扉がひらいたんだから、入ればいいんですよね。そこへ。
(中略)でもおもしろいことに、若い人で「扉が開いた」そのチャンスの時に、ぴょんと飛び込む人ってほんとに少ないんですよ。ほとんどの人は扉が開いた時には、おびえて後ずさってしまう。「ぼくにはまだそんな準備はできてませんから」とか遠慮して。そんなのわかってるって(笑)。わかった上で「やらない?」と訊いてるのに。結局、キャリアの扉は自分で開けるものだと思っているんですよ。
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